2014.07.03
お風呂のルーツ
積善館「元禄の湯」の蒸し湯
積善館「元禄の湯」の蒸し湯
積善館の「元禄の湯」には『蒸し湯』があります。
壁をくり抜いた様な小部屋の中にタイル張りの寝椅子があり、中に入って扉を閉めると、小部屋は源泉の蒸気で満たされます。
5分も入っていると体の芯から洗われた様な爽快な気分になります。
古くから有名だった、四万温泉の蒸湯
この「蒸し湯」、歴史的には古くからの入浴方法でした。
元禄14年(1701年)に記された四万温泉湯之縁起には
「湯の沸くところ四万。浴すべき也、蒸すべき也」という記述があり、
天明2年(1782年)に四万に来遊した京都の学者平沢旭山という人は
「独り四万の泉は別に蒸室あり、治験もまた蒸浴にある。
その方法は小さい小屋いくつかを設けておく。
・・・その小屋に座して、その熱に蒸される。
・・・皆健食日に加う。まさに知るべし」と記しています。
古くから有名であったこの四万温泉の蒸湯、残念ながら今では積善館の「元禄の湯」にしか残っておりません。
風呂の原形は、小さな洞穴(室)
一方でこの『蒸湯』、まさにお風呂のルーツであったとも言われています。
現在私達が使っている「風呂」という言葉、この「フロ」とは「ムロ」が転化したもので、蒸湯に使った小部屋「ムロ(室)」が語源だったとか。
また「風呂」と言う字に使われている「風」は湯気や蒸気を意味したとも言われています。
風呂の原形は、小さな洞穴(室)。
その中に石を敷き詰め、その上で焚き火をし、下の石が充分に熱したところで川の水をかけると、水は蒸気になって洞穴(室)全体を満たします。
その蒸気の中で昔の人々は体を洗ったのです。これが風呂のルーツと言う訳です。
大昔の人にとってみると十分な水量を確保できる湯船を作り、それに一定温度の大量の湯を保っておくということは日常的には不可能に近い事だったでしょう。
さて、皆さん!!
このお風呂のルーツでもあり江戸時代には全国的に有名だった四万温泉の蒸湯。
是非とも積善館の「元禄の湯」で味わってみて下さい。